日本人の死亡原因の第一位は「がん(悪性新生物)」です。
がんは、昭和56年(1981年)以降、40年以上もの間、日本人の死亡原因の第1位であり続けています。現在、日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死亡しています。
令和2年のがん部位別死亡者数は、全国で男性が1位肺がん、2位胃がん、3位大腸がん、女性が1位大腸がん、2位肺がん、3位膵臓がん、荒川区では男性では1位肺がん、2位胃がん、3位大腸がん、女性では1位肺がん、2位大腸がん、3位胃がんでした。年度により順位の入れ替わりはありますが、肺がん、胃がん、大腸がんは常に上位を占めています。(出典:人口動態統計がん死亡データ)
荒川区では毎年600人弱の方ががんで亡くなっています。がんによる死亡が減らない理由の一つは高齢化の進展とされていますが、がん検診の未受診や、症状があるのに受診が遅れてしまうこと、がんにつながる生活習慣を続けてしまうこと等も大きな要因です。
医学の進歩によって、がんは早期発見・早期治療を行えば治癒が期待できる病気に変わりつつあります。区では、がんによる早世を予防するために、健康づくり・生活習慣病予防対策やがん検診事業を行っています。一人でも多くの方に、がんについて知っていただき、一緒にがんを克服する活動を進めていけることを願っています。
がん対策の根拠と実施体制
がんの克服を目指して、平成19年から「がん対策基本法」が施行され、国や都の「がん対策推進計画」が策定されました。これにより、国、都、区が協力してがん死亡を減らす取り組みを行う体制が整えられました。区では、これら国や都の計画を踏まえ、荒川区健康増進計画に重点項目として「がん対策」を位置づけ、医療機関と連携しながら対策を進めています。
年代に応じたがん対策
- 乳幼児~小児期:予防接種で予防できるがん対策を行います(B型肝炎ワクチン接種)。
- AYA世代:予防接種で予防できるがん対策(子宮頸がんワクチン接種)や性感染症予防教育・禁煙教育等を行います。※AYA世代とは15歳~39歳の年代を指します。
- 20歳代から:子宮頸がん検診の対象年齢に入ります。また、肝炎ウイルス検査を受けたことがない方への肝炎検査が勧められます。喫煙者には区の助成制度を利用した禁煙治療が推奨されます。
- 30歳から:乳がんの罹患率が30歳代後半から増加していくため、乳房を意識した生活習慣(ブレスト・アウェアネス:乳房自己検診等)や異常がある場合の早期受診が勧められます。
- 40歳代~69歳:肺がん、胃がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がんの検診対象年齢です。決められた間隔で検診を受けて早期発見をする、また、生活習慣を見直してがんのリスクを下げることが積極的に求められる年代です。
- 70歳代から:がん検診の機会は維持しつつも、症状がある場合の早期受診・早期治療がより重要になってきます。
あなたのがんのリスクをチェック!
国立がん研究センターがん対策研究所では、日本人の生活習慣と、がんや他の疾患との関係について調査をしています。永年の調査を分析した結果から、どのような生活習慣が、がんや他の病気に繋がりやすく、また病気に罹りにくいのかの情報を公開しています。
あなたやあなたの身近な人が健康的な生活を送るために、国立がん研究センターがん対策研究所の各コンテンツであなたの生活習慣に潜むリスクをチェックしてみましょう。
日本人のためのがん予防法
日本人を対象とした研究結果から、科学的根拠に基づいた予防ガイドライン「日本人のためのがん予防法」を実践しましょう。
一次予防:5つの健康習慣+感染予防
1禁煙、2節酒、3食生活、4身体活動、5適正体重の維持の5つの健康習慣を実践することで、がんになるリスクはほぼ半分に減ります。
1 禁煙
タバコは吸わない、他人のタバコの煙を避ける
タバコの煙は肺がんをはじめ、食道がん、すい臓がん、胃がん、大腸がん、膀胱がん、乳がん等多くのがんと関連しています。また、たばこを吸う人は、吸わない人に比べて、がんになるリスクが約1.5倍高まりますし、受動喫煙によっても発がんリスクは高まります。
肺がん検診の際の喀痰検査は、高リスク者に対して実施します。
肺がん高リスク者の考え方
50歳以上の男女で、「(一日の平均喫煙本数)×(喫煙年数)」が600以上の場合
※注釈 過去の喫煙も含みます。また、加熱式タバコについては、カートリッジの本数を喫煙本数と読み替えます。
2 節酒
飲酒は、食道がん、大腸がんと強い関連があり、特に女性では体質的に飲酒の影響を受けやすく、より少ない量でがんになるリスクが高くなるという報告もあります。
飲酒は健康に害を与えない量、1日あたり純エタノール換算で23g程度(日本酒一合、ビール大瓶1本、ウイスキーはダブル1杯、ワインはボトル3分の1本程度)に抑えましょう。
3 食生活を見直す
塩分の取りすぎや、野菜や果物の摂取不足の他に、熱すぎる飲み物や食べ物も影響することが分かっています。
4 身体を動かす
仕事や運動等で、身体活動量が高い人ほど、がん全体の発生リスクが低くなります。
また、このような人は心疾患のリスクも低くなるため、死亡全体として考えた場合のリスクも低くなります。
身体活動により、男性では結腸がん、肝がん、膵がん、女性では胃がんのリスクが低下することが報告されています。
5 適正体重を維持する
男性ではBMI値21.0~26.9でがんのリスクが低く、女性では21.0~24.9で死亡リスクが低い結果が出ています。
6 感染もがんの主要な原因
日本人のがんの原因として、女性で1番、男性で2番目に多いのが「感染」によるものです。
がん自体はヒトからヒトに感染しませんが、特定のウイルス・細菌に感染した状態が持続することで、がんの原因となることが知られています。感染したら必ずがんになるわけではありませんが、ワクチン接種による感染予防や、感染の有無を調べることにより、早期治療ができます。
ウイルス・細菌名 | がんの種類 |
区で助成を行っているワクチンまたは検査 |
---|---|---|
B型・C型肝炎ウイルス | 肝がん | |
ヘリコバクター・ピロリ菌 | 胃がん | |
ヒトパピローマウイルス(HPV) |
子宮頸がん | 子宮頸がんワクチン |
ヒトT細胞白血病ウイルスI型 (HTLV-1) |
成人T細胞白血病 リンパ腫 |
妊婦健康診査 |
- ワクチン接種や検査については、条件を満たした対象者に荒川区で助成事業をおこなっています。詳しくはリンク先をご覧ください。
- 区の助成はありませんが、ヒトパピローマウイルス(HPV)は病院等でHPV検査を受けて、感染の有無を調べることができます。
- ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)の主な感染経路は母子感染と性行為感染です。
関連リンク
- 国立がん研究センター がん情報サービス がんを知るNo.301
- 「科学的根拠に基づくがん予防 がんになるリスクを減らすために」(外部サイトへリンク)
- 「科学根拠に基づくがんリスク評価」(外部サイトへリンク)
二次予防:がん検診で早期発見・早期治療で「治癒」を目指す
三次予防:治療後の再発予防、生活の質(サバイバーシップ)
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お問い合わせ
健康部保健予防課成人健診係
〒116-8507荒川区荒川二丁目11番1号
電話番号:03-3802-3111(内線:416)